当サイトでは、一部の記事にアフィリエイト広告を掲載しています。

「みなし残業でこんなに働かされるのはおかしい」そう感じているなら、その感覚は正しい場合があります。 みなし残業(固定残業代)制度は法律違反ではありませんが、違法な運用が横行しているのも事実です。 この記事では、みなし残業が「本当におかしい状態」になる具体的な条件と、今日から使える確認術・行動ステップを整理します。

悩む人
「みなし残業が40時間含まれてるって言われたけど、毎月60〜70時間は普通に働いてる。超えた分の残業代が出ないって、これおかしくないですか?」

まず確認。あなたの会社のみなし残業、これに当てはまりませんか

「おかしいとは思うけど、どれが問題でどれが普通なのか区別がつかない」という方のために、チェックポイントを先に整理します。

  • 給与明細や雇用契約書に「固定残業代○時間分」の記載がない
  • みなし時間数は書いてあるが、金額がどこにも記載されていない
  • みなし時間を超えて働いても、差額が一切支払われない
  • 基本給と固定残業代が「諸手当」などで一括表示され区別できない
  • みなし残業が月80時間以上に設定されている

1つでも当てはまれば、会社の運用に問題がある可能性があります。 複数当てはまる場合、違法な状態が続いているケースとして判断できることが多いです。

「みなし残業だから残業代は出ない」は会社側の誤り
「うちはみなし残業制度だから、超えた分の残業代は払えません」という会社の説明は、法律上誤りです。 みなし残業はあくまで「先払い」の仕組みであり、超過分を免除する制度ではありません。 この説明を受けている場合、労働基準法第37条に違反している可能性があります。

今すぐできること。4つのステップで動き始める

問題に気づいた後の動き方を、優先順位の高い順に整理します。 証拠を残すことが最初の一歩です。

1
労働時間の記録を今すぐ始める
PCのログイン・ログオフ時間、入退館記録、メールの送受信時刻など、客観的な証拠を集める。手書きより電子記録のほうが証拠として強い。スマートフォンのメモアプリで毎日記録するだけでも有効。
2
給与明細と雇用契約書を確認・保管する
固定残業代の時間数と金額が明示されているかを確認する。過去の給与明細もできるだけ揃えておく。電子明細はスクリーンショットで保存しておくとよい。
3
労働基準監督署または相談窓口に連絡する
最寄りの労働基準監督署、または厚生労働省が運営する「総合労働相談コーナー」(全国47都道府県)に無料で相談できる。匿名でも話を聞いてもらえる。
4
弁護士または社会保険労務士に相談する
未払い額が大きい場合や会社が対応しない場合は、専門家への相談が近道。法テラスや弁護士会の初回無料相談も活用できる。成功報酬型なら費用の心配も少ない。

労働基準監督署への相談手順を詳しく確認したい方はこちら

動き始めるための原則
まず記録、次に相談。この順番を守ることが、後の交渉や請求をスムーズにする。証拠なしに動くと「言った言わない」になりやすいため、記録が最優先。

法律上の根拠を押さえる。みなし残業が適法になる4条件

「そもそもどんな状態なら合法なのか」を知ることが、自分の状況を正確に判断するための軸になります。

みなし残業(固定残業代)とは、あらかじめ決めた時間分の残業代を月給に含めておく仕組みです。 制度そのものは違法ではありません。 しかし、適法な運用には厳格な条件があります。

固定残業代が有効になるための4条件(すべて満たす必要あり)
- 固定残業代の**金額**が給与明細・雇用契約書に明示されていること - **何時間分**の残業代かが明示されていること - 実際の残業時間がみなし時間を超えたら、**差額を別途支払う**こと - 基本給と固定残業代が**明確に区分**されていること

この4条件のうち1つでも欠けると、固定残業代の合意が無効と判断される場合があります。 「含まれている」とだけ言われて時間数も金額も曖昧なケースは、特に問題が生じやすいです。

みなし残業時間にも上限がある

労働基準法第36条(いわゆる36協定)が定める時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間です。 「特別条項」を使っても、月100時間未満・2〜6ヶ月の平均80時間以内が絶対的な上限となります。 これを超えるみなし残業を設定している企業は、それだけで法令違反にあたります。

超過残業代は必ず支払われる。労基法37条が保障していること

みなし残業に関して最も誤解されているのが、この点です。

労働基準法第37条は、法定時間外労働(1日8時間・週40時間超)に対し、25%以上の割増賃金を支払うことを会社に義務づけています。 深夜(22〜5時)は35%以上、休日出勤は35%以上が加算されます。

みなし残業は「あらかじめ払っておく」仕組みに過ぎないため、実際の残業時間がみなし時間を超えた場合、差額は必ず支払われなければなりません。 これは会社がどんな就業規則を定めていても変えられない、強行規定です。

未払い残業代を実際の数字で確認する

月給25万円、固定残業代として月3万円(30時間分)が含まれているケースで計算します。

1時間あたりの残業単価 = (月給 − 固定残業代)÷ 月の所定労働時間 × 1.25

(250,000 − 30,000)÷ 160時間 × 1.25 = 1,719円

実際に毎月50時間残業していたとすると、超過20時間分の未払い額は: 1,719円 × 20時間 = 34,375円 / 月

これが1年続くと約41万円。3年では約123万円が未払いのまま積み重なります。 「そんな大きな金額?」と感じるかもしれませんが、このケースは珍しくありません。

未払い残業代の時効は3年(2020年4月以降)
2020年4月1日以降に発生した未払い賃金の請求権は、3年で時効を迎えます(それ以前は2年)。 3年以内であれば、遡って請求できます。「もう遅いかも」と諦める前に、発生時期を確認してください。

給与明細の記載内容に疑問がある方はこちらも確認してください

みなし残業問題がなくならない理由。制度の構造的な落とし穴

みなし残業の違法運用が問題視されながらも後を絶たない背景には、制度の「見えにくさ」があります。

給与明細に「固定手当」「調整手当」として一括表示されていると、何時間分の残業代なのかが判断しにくくなります。 また、「みなし残業が含まれている」と説明された側は、超過分を請求してよいことを知らないまま諦めてしまうことも多いです。 気づかないうちに、数年分の未払いが積み重なっているかもしれません。

「含む」とだけ説明されて詳細が不明のまま
超過しても「制度内だから払えない」と言われる
労働者が諦めて泣き寝入りする
会社の違法状態が温存され続ける
くり返す

厚生労働省は固定残業代に関する留意事項を通達で示しており、最高裁判所でも複数の判断が出ています(最高裁平成29年7月7日判決・テックジャパン事件など)。 「制度がある」という事実と「その運用が適法か」は、まったく別の問題です。

解説する人
「固定残業制度そのものは違法じゃないんです。問題なのは、その制度を『残業代を払わない言い訳』として使う会社。この2つをきちんと区別することが大切です」

みなし残業の問題が多い職種として、IT・Web系エンジニア、営業職、飲食・サービス業の店長クラス、スタートアップ・ベンチャー社員などが挙げられます。 「うちの業界はこういうもの」という空気に流されず、自分の雇用契約を一度見直してみてください。

会社に直接言いにくい場合の相談先まとめ

「直接交渉するのは怖い」「証拠がまだ揃っていない」という段階でも、相談できる窓口があります。

相談先特徴費用向いているケース
労働基準監督署行政機関・調査権あり・匿名可無料明確な法違反があるとき
総合労働相談コーナー厚生労働省管轄・話を聞くだけでもOK無料何から動けばいいかわからないとき
法テラス弁護士費用の立替・分割制度あり状況次第で無料弁護士費用が心配なとき
弁護士(成功報酬型)費用は回収額から支払い成功報酬未払い額が大きいとき
個人加入ユニオン会社との団体交渉が可能月数百円〜辞めずに状況を改善したいとき

最初の相談先として最もハードルが低いのは、総合労働相談コーナーです。 「証拠がまだない」「何をどう伝えればいいかわからない」という段階でも話を聞いてもらえます。 「相談しただけで状況が動く」ということもあります。

ハラスメントや残業代に関する相談窓口の詳細はこちら

一人で「おかしい」と思い続けているほど、未払い額は積み重なります。まず一度、相談窓口に話を聞いてみませんか?
転職エージェントどこが良いの?そんなあなたへ【転職エージェントナビ】

それでも改善しないと判断したなら。次の選択肢を考える

会社が誠実に対応しない、相談しても状況が変わらないという場合は、次のフェーズを検討する段階です。

退職後であっても、未払い残業代は3年以内であれば請求できます。 辞める前に記録と証拠を揃えておき、退職後に請求するというルートは現実的な選択肢のひとつです。

残業代を取り戻す具体的な手順については、サービス残業の残業代を取り戻す全手順が参考になります。

転職という選択肢を考え始めた方は、仕事を辞めるかどうかの判断軸をまとめた記事もあわせて読んでみてください。

PR
みなし残業が常態化している職場から抜け出すことを考え始めたなら
「残業代がきちんと出る職場に移りたい」と感じたら、転職エージェントへの相談が選択肢になります。転職エージェントナビでは、あなたの状況に合ったエージェントを無料でマッチングしてくれます。
転職エージェントどこが良いの?そんなあなたへ【転職エージェントナビ】

「おかしい」と感じたその直感を、一つの行動に変えることから始めてみてください。

よくある質問

Q1. みなし残業の時間数は給与明細への記載だけで足りますか?+
雇用契約書または労働条件通知書への明示が必要です。給与明細のみへの記載だけでは不十分な場合があります。「諸手当」として一括表示されていて時間数が不明なケースは、固定残業代の合意が無効と判断されることもあります。まず雇用契約書を確認し、記載がない場合は専門機関に相談することをおすすめします。
Q2. みなし残業が月80時間以上という設定は絶対に違法ですか?+
労働基準法第36条の上限規制では、時間外労働は原則月45時間・年360時間まで。特別条項がある場合でも月100時間未満・2〜6ヶ月平均80時間以内が絶対的な上限です。これを超えるみなし残業の設定は法令違反にあたります。「特別条項付き36協定を締結しているから問題ない」という会社の説明は、この絶対的上限を無視した誤りです。
Q3. 退職後でも未払い残業代は請求できますか?+
請求できます。2020年4月1日以降に発生した未払い賃金の請求権は3年で時効を迎えます(それ以前は2年)。退職後であっても、勤務記録や給与明細などの証拠があれば請求可能です。時効が近い場合は早めに弁護士や労働基準監督署に相談することをおすすめします。
Q4. 求人票に「みなし残業○時間含む」と書いてあって同意したけど、入社後に異議を申し立てられますか?+
申し立てられる場合があります。求人票への記載があっても、雇用契約書への時間数・金額の明示がない場合や差額支払いのルールがない場合は、制度の有効性自体を争える余地があります。「事前に説明を受けた」という事実だけでは、違法な運用が合法化されるわけではありません。具体的な状況については労働基準監督署や弁護士への相談が確実です。
Q5. 労基署に相談すると、会社に名前が伝わりますか?+
匿名での相談は可能です。ただし、労基署が会社への調査(立入検査など)に進んだ場合、内容によっては会社側が察知するケースも人によってはあります。「調査はしてほしくない、相談だけしたい」という形でも対応してもらえます。相談の際に「匿名扱いにしてほしい」と明示的に伝えることをおすすめします。